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データ復旧事例

Buffalo TeraStation TS-XEL/R5 データが読めない。RAID修復によるデータ復旧

2016年09月08日

TS-XE4.0TL/R5 フロントパネルのエラーランプ点灯

大阪市西区のお客様よりTeraStation (Buffalo TS-XE4.0TL/R5)をお預かりしました。RAID仕様であるにも関わらず、データの読み書きが全くできなくなってしまったとのことです。

TS-XE4.0TL/R5 前面

少しアクセスの速度が遅くなってきたと思ったら、全くアクセスできなくなったそうです。こういう場合は万が一のことが十分にあり得るため、全く触らずにそのままお持ち頂くように連絡しました。たとえRAID構成であっても、下手に試行錯誤すると、壊れた状態が論理的に広がってしまいます。

お持ち込みいただいたTeraStationの状態を確認します。RAID1×2構成で運用されていました。HDDへの負荷を考慮し、最小限の時間で状況を見ます。まずフロントパネルの液晶画面のエラーメッセージを確認します。

OperationMode I12 DEGRADE MODE
RAID Array1 E14 Can’t Mount

上記のメッセージから、アレイ1のHDDペアに何らかの問題が発生していることが分かります。

 

TeraStation TS-XEL/R5 管理画面上のエラー表示

少し見づらいですが、管理画面を開くと上記の画像のような状態になっていました。RAIDアレイ1を構成するHDDが2台とも「エラー発生」となっています。2台同時に物理的に破損することはほとんどないですが、この時点ではまだ具体的なことは分かりません。

電源を落として、全てのHDDを取り外してまずはHDD単体での状態チェックを行ないます。

 

TeraStation TS-XE4.0TL/R5 内蔵HDD

採用されているHDDはWestern Digital WD10EADSでした。

物理障害を起こしているHDDを特定できました。トラブルを起こしているHDDを切り離して、HDD3本構成でTeraStationの起動を試みます。

Webの管理画面と、ファイル共有でのアクセス状況を見るとアレイ2のデータは問題なくアクセスできます。しかし1本が物理障害のアレイ1のデータにはアクセスできません。RAID1構成の場合、1本のHDDが故障しても片方のHDDでデータを見れることが多いですが、今回は片側が物理障害・もう片方が論理障害を起こしてデータへアクセスできなくなっています。

論理障害を起こしているHDDのクローンを作成したうえで、TeraStationのWeb管理画面からディスクの再認識などで復旧を試みましたが、RAIDアレイのエラーステータスは変わりませんでした。うーん、やっぱり。ラクはできませんね。

こうなると、論理障害を起こしているHDDからデータ復旧するしかありません。 こちらは、専用ツールを用いてデータがほぼ100%見えることが分かりました。

ここまでで、ひととおりの診断が完了です。あとは、手順を間違えなければ無事に復旧できるはずです。

 

ここで整理。

  • アレイ1のHDD1が物理障害となり、ミラーリングの際にHDD2にも論理障害が発生して、データアクセス不可となった。
  • アレイ2のHDDペアは問題なし

あとは、どういう形でデータをお渡しするかです。問題はデータ量です。

アレイ1,アレイ2それぞれデータ量が約1TBです。 他の媒体(外付けHDD)へコピーするだけでも、全てを渡すのに数日かかってしまいます。コストと納期を考えて、ちょっと工夫する必要があります。

 

Buffalo TeraStation TS-XE4.0TL/R5 仮対策後の管理画面

アレイ2は、HDD3・4をTeraStationへ接続することで、そのままデータアクセス可能なので、そのまま返却することになりました。

アレイ1は、必要なデータのみ取り急ぎ外付けHDDへコピーしてお渡ししました。とりあえず目先の業務はこれで大丈夫。

会社が休みの土日にTeraStationを再度お預かりして、 HDD1を新品へ交換してアレイ1を再構築し、データを流し込んでデータ復旧完了。

今回のご依頼では、取り急ぎ必要なデータを翌日にお渡しでき、最終的には、全体のデータもほぼロスなく復旧できたので、お客様にも喜んでいただけました。

 

RAIDなら安心!と思っておられる方は多いと思いますが、今回のトラブルのようにデータへアクセスできなくなることがあります。もともとRAIDは「業務を止めずにデータ破損を修復する」ためのもの。壊れやすさという意味では、内蔵しているHDDの台数ぶん、壊れる可能性が高いです。扱いに慣れないと、故障のたびに業務がストップし、何のためにRAIDを採用したのか分からなくなります。常にHDDのストックを確保しておき、エラーが発生した時は業務を止めずに直ちに差し替えられるようにしておかないと、RAIDを採用した意味がありません。

似たようなスペックのバックアップ用サーバを並走させておいて、メインが故障したらケーブルを差し替えるだけで済ませるような単純な運用のほうが安心かもしれません。パソコン修理の専門店としては、場合によってはそのような提案も行ないます。

メーカーにて復旧してもらえないデータ復旧も弊社で承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。